フェムトマガジン(第810号) 連載「起業のコーポレート業務」開始にあたって+上場までの資本政策(2024年11月)
フェムトパートナーズでは、この度note上で、スタートアップにてCFO経験のある坂本の連載「起業のコーポレート業務」をスタートいたします。第1回目となる今回は、なぜこの連載をスタートすることにしたのか、また、今後の連載の構成などについて紹介します。
今週は、この「起業のコーポレート業務」部分は一般公開させていただき、その後に、いつもの「上場までの資本政策(2024年11月)」の有料部分が続きます。
著者紹介(坂本隆宣)
大和証券SMBC・ドイツ証券・Greenhill・三菱UFJリサーチ&コンサルティングにて一貫してクロスボーダー案件含むM&Aアドバイザリー業務に従事。
Greenhillにおいては日本法人、三菱UFJリサーチ&コンサルティングにおいては財務アドバイザリーチームの立ち上げを主導。その後、スタートアップ(クラウドクレジット/フィンテック、メディフォン/ヘルスケアSaaS)においてCFOを務め、資金調達(累計約50億円)等の資本政策・コーポレート部門立ち上げ等の経営管理・アライアンス等の経営企画業務を牽引。
2024年、フェムトパートナーズに参画。
早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。
インタビュー記事はこちら:
「起業のファイナンス」との出会い
「ウチでCFOになるなら、この本は読んどいて」
起業したかつての同期、とあるスタートアップのCEOに渡された、やたらと目立つ黄色の書籍が「起業のファイナンス」でした。
まがりになりにも、上場企業含む大企業向けのM&Aアドバイザリーや資本政策関連コンサルティングに10年以上従事し実務経験を積んでいた私は、「ファイナンス関連書籍は何冊も読んできたし、何を今さら……」という気持ちもありつつページをめくり始めました。
そうすると意外にも、これまで私が触れてきたコーポレートファイナンスとは全く違う世界観が描かれており、改めて「エクイティはこんなにワクワクするプロダクトなのか……!」と思ったことを今でも鮮明に覚えています。
既に心の中では、このスタートアップに参画することをほぼ決めていたのですが、「起業のファイナンス」の著者である磯崎哲也さんが創設したフェムトパートナーズが株主にいる、と知ったことが最後の一押しになったことは紛れもない事実です。
本連載の狙いと役割
以降、私はしばらくスタートアップCFOとしてのキャリアを歩むことになるのですが、「起業のファイナンス」「起業のエクイティファイナンス」は、資本政策で悩み、資金調達で悪戦苦闘する度に何度も読み返してきました。
この2冊にはスタートアップファイナンスの基礎や原理原則が書かれているのですが、「実際に資本政策ってどうやって組むんだっけ?」とか「資金調達ってどんなステップで進めるんだっけ?」という実務的な記述はあまりないため、そちらを補完するという役割を持たせた連載を執筆したいと考えました。
本連載には「起業のファイナンス」シリーズの実践編という位置付けを持たせます。
資金調達を含む資本政策は財務に関する業務で、「事業」とは表裏一体であるものの、「組織」という切り口で分類すると「コーポレート業務」に含まれます。
「コーポレート業務」というと横文字ですし、ややとっつきにくく感じるかもしれませんが、ざっくりと大企業や成熟企業で「バックオフィス業務」「管理業務」と呼ばれるものと思って頂ければ結構です。
一方で、コーポレート業務は財務以外に、経理・総務・法務・人事労務など多岐に渡ります。ベンチャーキャピタル(以下「VC」)から出資を受け、赤字を掘りながら爆速で成長するスタートアップにおいては、その構築のために投下できる金銭的・時間的リソースが限られるため、優先順位付けや舵取りは非常に難しいものです。
スタートアップにおけるコーポレート業務(部門)をどう構築していくかについてのまとまった情報はなかなかなく、私は周囲や先輩CFOに教えを請うたりしていしたが、どうしても事業やスタートアップのステージによって個別性が高くなります。
あえて本連載ではスタートアップにおけるコーポレート業務について網羅的・体系的に纏めるということにチャレンジしてみました。
私自身は多くの失敗をしてきましたし、自分がやってきたことがベストプラクティスだとも思っていません。
コーポレート部門は事業を拡大していく上で必要な器である「会社」には不可欠な機能です。特に上場を目指すスタートアップは一定水準以上のガバナンスを求められるようになります。本連載が支えるコーポレート部門構築を検討する際の、一助になれば幸いです。
ということで、本連載は、「起業のファイナンス」を読破し、これから資金調達を考えている起業家や、事業が立ち上がりコーポレート部門を作ろうと考えているアーリーステージのスタートアップ経営層、またはそんなフェーズにスタートアップに飛び込んでコーポレート機能を担おうとしている勇気ある(!)方々をメインの読者層として想定しています。
構成は次の通りです。
本連載の構成
まず、スタートアップにおけるコーポレート業務(部門)とは何か、ということについて、私なりの理解を記述するところから始めたいと思います。後述しますが、「スタートアップにおける」というのがミソです。
次に、実務経験を踏まえ、コーポレート業務立ち上げのステップを示します。併せて、コーポレート業務の全体像を解説し、それぞれの分野においてポイントだと思われる事項について説明していきます。
本連載のメインのパートとなりますが、どうしても私の経験に依拠する要素が強く、分野によって濃淡が出てしまいます。そこで、本連載では私がそこまで知見がない分野については知人へのインタビュー等を通じて補強していければと考えております。
また、私が利用していて便利と感じているデジタルツールも紹介します。この分野は近年、優れたSaaSなどがどんどん出てきており、競争も激しいのですが、どうしても情報が古くなってしまう可能性があります点、ご理解下さい。
ということで、不定期にはなりますが連載を開始します。
「フェムトマガジン」ともども、宜しくお願いします!
以下は、「上場までの資本政策(2024年11月)」分をお届けします。
ご興味がありましたら、下記のリンクからご覧ください。
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