週刊isologue(第407号)ベンチャーの資本業務提携に必要な、たった一つのこと(第1回)

今どきのベストセラーっぽいタイトルにしてみましたが、最終的に「たった一つ」に集約できるかどうかは(一応イメージはしてますが)今後書き進めてみて出たとこ勝負です。よろしくお願いいたします。<(_ _)>

今回から、ベンチャーの資本業務提携で考慮する必要がある様々な要素について考えてみたいと思います。

ベンチャーが成長していく過程で、他の事業会社と組んで、そのチャネルや設備、知的財産などを活用させてもらう業務提携(事業提携)が行われることがあります。その際に、提携先の企業からベンチャーへ株式での出資が同時に行われることもあり、そのように業務提携と出資が同時に行われることを、資本業務提携と呼びます。

今まで、このメルマガや拙著(起業のファイナンス、起業のエクイティ・ファイナンス)では、ベンチャーキャピタル(VC)等の純投資家が投資をする場合を中心に、契約書や定款をどのように定めるかを検討してまいりました。

しかし、純投資のインセンティブがシンプル(企業価値の向上=キャピタルゲインの獲得)であるのに対して、事業提携の各当事者のインセンティブは、その事業の内容等によりますので、非常に千差万別で、そうしたインセンティブや契約条件をケース分けしても、ややこしすぎてケース分けし切ることは極めて困難です。このためもあってか、ベンチャーの資本業務提携を実務的・具体的かつ体系的に解説したものは、私は見たことがありません。(海外の文献も含め、もし存在したならご教示いただければ大変幸いです。)

このため(私の頭の整理も兼ねさせていただきまして)今回から、資本業務提携に関する様々な要考慮事項を考察していきたいと思います。

目次とキーワード

資本業務提携のスペクトラム
出資比率、出資金額(株価)
投資される株式の種類と優先順位
契約の複雑さと条項
各要因間の関係と不確実性
ベンチャー投資は「コントロール権」の処理が重要
ベンチャー投資契約群は「将棋」に近い?
大局観とミクロな技術的検討の両方が必要
ベンチャーに詳しい弁護士等のアドバイザーの必要性
持株比率と契約条件との関係
シリコンバレーとの環境の違い
議決権の有無
比率が高すぎて投資家が付かない等のリスク
上場時以外でも議決権株式に転換する取り決めが行われていないか?
会社法上の拒否権

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