週刊isologue(第34号) ベンチャーのファイナンス(中級編)

先週までの「週刊isologue」では、国の1000兆円単位の話をしておりましたが、今週は(その1000万分の1の”小さな”話で恐縮ですが)数億円単位のベンチャービジネスの投資の話をしたいと思います。

今週の水曜日に「アゴラ起業塾」でベンチャーのファイナンスをテーマに講演をする予定なんですが、そのレジュメをまとめていたところ、1時間ではやはり、あまりディープなことまでは話せなさそうで。

(あんまり難しいことをしゃべっても寝てしまう人も続出すると思いますし。)

そこで今回は、そこに収まり切らない部分について(「アゴラ起業塾」に出席させる方は「予習」も兼ねて)、ベンチャー投資における投資契約や種類株式の活用について考えてみたいと思います。

ベンチャーファイナンスの概要については、 2001年からINTERNET MAGAZINEに連載していた「コーポレートファイナンス入門」というシリーズをウェブで公開してますので、そちらをご覧いただければと思います。8年前のものなので「商法」が「会社法」に変わっていたりする部分はありますが、基本的な考え方は変わってません。

 

シリコンバレーをはじめとするアメリカのベンチャービジネスへのベンチャーキャピタル(VC)等の投資では、ほぼ必ず優先株(preferred stock)が使われるのに対して、日本のベンチャー投資ではあまり種類株式は使われません。

SOX法やJ-SOXなど、上場企業への内部統制の要求は世界的に厳しくなってきており、上場のためのハードルやコストも昨今非常に高くなってます。

つまり、今後のEXIT(投資家の投資の「出口」)は株式上場だけを考えるのではなく、バイアウト(未上場のままM&Aで買収される)を考える必要が潜在的に高まっていると思いますが、そういった状況に対応するためには、実は種類株式等を活用することが必要になってくるんじゃないか、といったお話です。

・・・ということで。

今週の目次&キーワードは以下の通り。

投資家側から見た問題点1:投資したのにEXITできない
モニタリングの工夫
上場の努力義務と株式の買取条項
投資家側から見た問題点2:期待したほど額のEXITができない
優先分配権
「○倍の優先分配権」
各種拒否権
投資家側から見た問題点3:「経営陣だけ売り抜け」
「共同売却権」
「先買権」
投資家側から見た問題点4:投資家間の不公平
株価修正条項
フルラチェット
「修羅場」に関係者のインセンティブを適切に調整できるメカニズム
・・・等

ご興味がありましたら、下記のリンクからご覧いただければ幸いです。

ここから先は

50字

¥ 250

サポートいただいた資金は全て、分析のための商業登記簿取得費に充てさせていただきます!