週刊isologue(第570号)外国投資家による投資(外為法改正に伴うパブコメその1)

先週は、突然休載いたしまして、大変失礼いたしました。
(うちの90近い父親が手術して入院してたのですが、病院から「意識不明になった」と連絡があって、急遽駆けつけておりまして。おかげさまで翌日意識は戻りました。)

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さて、昨年末に、スタートアップが投資を受ける際にも非常に関連がある、外為法(外国為替及び外国貿易法)の改正案が国会を通りました。
そしてこの週末、14日(土曜日)に、その改正に関連した政令等(つまり、より細かいところ)の改正案が発表され、それに関するパブコメ(パブリックコメント)が募集されています。今回はそれについて見ていきたいと思います。

従来も、外国投資家が日本国内の企業に投資する際には、業種によっては事前届出が必要だったのですが、その業種は、原子力とか放送とか鉄道とか、いかにも国の安全保障に直結しそうなインフラ的な産業に限られていました。

ところが、米国やEUなど、2018年からの世界的な対内投資の強化に合わせて、日本でも業種に「IT」(ソフトウエア等)が突如追加されたので、かなり広範なスタートアップに大きな影響が出ることになってしまったのです。

このため、日本ベンチャーキャピタル協会等からも政府に対していろいろ提言が行われ、ほとんどの国内のVCファンドについては、実務に影響がない形で、改正を(異例のスピードで、しかも与党のみならず、共産党の議員さんまで全員賛成で)、昨年末に成立させていただきました。

ところが、スタートアップ側にとっては、対象業種(つまり、どういった「IT」までが含まれるか)が、まさに今回のこの政令等の改正で決まるので、問題はまだ終わっていません。「外国投資家」には、「外国人の投資家」だけでなく、例えば日本法人であるLINE株式会社さんや、例えばシンガポールに移住した日本の起業家のエンジェルの人(非居住者)なども含まれますので、もし自分の会社が対象の業種に該当するとなると、一つの資金調達ラウンドをきちんと適切な時期までにクローズさせるために、そうした「外国投資家」の方々に先行してちゃんと届出をしてもらうとか、ちゃんと外国投資家がそうした外為法を理解して手続きなどに明るいのかどうか、日本の弁護士を紹介する必要がないかどうか、等も考えて、資金調達を進める必要があります。

パブコメの募集は4月12日(日)までで、リンク(e-Govのサイト)は以下の通りです。

対内直接投資等に関する政令等の一部を改正する政令案及び対内直接投資等に関する命令の一部を改正する命令案等、対内直接投資等に関する業種を定める告示案等に対する意見募集について

外為法の対内直接投資の条文は、構造が非常に複雑で、今回は、その「業種」のところまでたどり着く直前までの、法律とか政令とかなんとかが、どのようにつながってるのか、全体像を見ていきたいと思います。私は、法律の専門家ではないことはもちろん、外為法もほとんどなじみがなかったので、基本的なところからおさえていきたいと思います。

本稿は、法的助言を行うことを目的とするものではなく、財務(ファイナンス)的な観点などから、取り上げたテーマの性質を考えるためのものです。文書を実際に解釈したり運用するにあたっては、弁護士等の専門家の意見を参考にしてください。

ご興味がありましたら、下記のリンクからご覧いただければ幸いです。

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