週刊isologue(第225号)ベンチャー経営者の持分を増やす方法

この回は、ベンチャー経営者の持分を増やす方法について、です。

昨今は、エンジェルやインキュベーター、シード・アクセラレーター(以下「エンジェル等」)の方々も増えて、設立直後の企業にも数百万円から1千万円程度までの資金が付くようになってきました。それは大変すばらしいことなのですが、一方で、そうした投資のかなりの部分が、非常に低いvaluation(株価)で行われるため、資本政策が上場に向かない(M&Aでexitするしかない)ことになってしまっているケースがたくさんあります。

今まで、このようにエンジェル等によって3割から5割弱の持分を持たれてしまったベンチャーは、ベンチャーキャピタルに投資を申し込んでも、「この資本政策じゃIPOできないなあ」と、そっぽを向かれてしまったケースも多かったと思います。既存のエンジェル等に嫌われてまで比率を引き下げて投資をしても、投資した後の株主間の人間関係にも影響を与えかねませんし、何より交渉も面倒です。ベンチャーキャピタルもビジネスなので、そうした手間やコストやリスクを払って投資するのは、よほどの案件に限られます。

将来IPOして大きく羽ばたけるかもしれなかったベンチャーが、資金調達ができず潰れてしまったり、少額のM&A等で買収されて終わってしまっていたのだとしたら、非常にもったいないことだと思います。

そういうわけで今回は、IPOモデルから乖離してしまっている資本政策を、「乙種普通株式」という株式を使って是正する方法を考えてみました。

目次とキーワード

乙種普通株式の要項
議決権
株式分割等の場合の取り決め
普通株式への転換
配当
残余財産分配権
株主間契約
実例で考えてみる
乙種普通株式が使える「経済的」前提
税務上の問題
発行時の価格
M&Aのexit時の価格
上場時の普通株式への転換
「特に有利な価格での発行」か?
ストックオプションによる是正では何がダメか?
普通の(無償)ストックオプションを使う方法
有償ストックオプションを使う方法

ご興味がありましたら、下記のリンクからご覧いただければ幸いです。

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