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フェムトマガジン

日本や世界のスタートアップについて、ファイナンスの観点から考えるマガジンです。2020年9月までの名称は「週刊isologue」。
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2014年4月の記事一覧

週刊isologue(第264号)もし日本のベンチャーがケイマン法人だったら(1)

ここ数週間の週刊isologueでは、ケイマン諸島法人として米国で上場する中国企業のWeiboやBaidu.comについて見てきました。

短期的な視点から考えれば、日本のベンチャーがケイマン法人を使っても、あまり得になることは考えにくい気がしますが、なんでこういうことをやっているかというと、日本で活動するベンチャーもケイマン法人を使うことで「制度間競争」などが起こらないかなあと考えたからです。

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週刊isologue(第263号)ケイマン法人の研究(その4:Baidu.com)

今週は、米国で上場している中国企業(ケイマン諸島法人)、Baidu.com(百度)の定款の株式の規定について見ていきたいと思います。

目次とキーワード

株式の規定の概要
普通株の内容
普通株の配当、残余財産の分配等
普通株の議決権
Class B普通株からClass A普通株への転換
ケイマンの「転換」→償還(redemption)と発行(issue)
日本での税務上の取扱いは大丈夫か?
ドラ

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週刊isologue(第262号)ケイマン法人の研究(その3:Baidu.com)

今週も、米国で上場した中国企業(ケイマン諸島法人)、Baidu.com(百度)の目論見書(F-1)から、ケイマン法人の謎を探っていきたいと思います。
今回は、Baiduの概要や、全体像が中心です。

目次とキーワード

Baidu.comの概要
李彦宏(Robin Yanhong Li)氏のイケメン度
Baiduグループのストラクチャー
大株主と経営陣
Integrity Partners
Pe

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週刊isologue(第261号)ケイマン法人の研究(その2)

今回も、米国で上場を予定しているWeiboやBaiduの目論見書(F-1)から。

先週もお伝えしたとおり、米国デラウエア法人で基本定款(certificate of incorporation)と言っていたものは、ケイマン(英国法系)では「memorandum of association」、デラウエア法人で付属定款(bylaws)と言っていたものは、ケイマンでは「articles of ass

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週刊isologue(第260号)ケイマン法人の研究(その1)

ケイマン諸島の持株会社(ペーパーカンパニー)は、今までいろんな場面で遭遇したことがありますが、そういえば具体的なドキュメンテーションまではよく見たことがありませんでした。

WEIBOの目論見書(F-1)には、上場するケイマン法人の定款も添付されてますので、今回はこの定款を「鑑賞」してみたいと思います。

目次とキーワード

ヘッダー部分
基本定款(memorandum of associatio

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週刊isologue(第259号)中国でネットビジネスをやるとどんなリスクがあるか?(WEIBOの事例)

2014.03.24

今回は先週に引き続き、米国で上場を計画しているWEIBOを取り上げます。
中国語がわからないとなかなか中国でのビジネスをするための知識は得られなさそうですが、米国での上場のための開示資料は、世界でも最も詳細に、かつ隠し立て無しにビジネスの中身を開示した資料の一つではないかと思います。今回はその中でも特に網羅的に開示されていると考えられるビジネスのリスク(RISK FACTO

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週刊isologue(第258号)「中国版ツイッター」WEIBOの上場

2014.03.17

「中国版ツイッター」とも呼ばれる新浪微博(シナウェイボー、WEIBO)が米国市場に上場することになり、SECにFORM F-1を提出しました。

中国企業については今まで扱ったことがなかったと思いますが、今後、超巨大企業「アリババ」も北米に上場も控えていますので、今回は、このWEIBOの上場資料を見てみました。

目次とキーワード

株主構成
会社の歴史と構造
財務諸表

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週刊isologue(第257号)isologueは何を考えて来たか?(2004年編)

2014.03.10

このメルマガを書き始めたのは2009年4月のことで来月5周年ですが、ブログの「isologue」は2004年3月4日から書き始めたので、2014年3月に満10周年を迎えました。

私あまり過去は振り返らないタイプなのですが、この節目に、過去isologueで何を考えて来たのか、ファイナンス面を中心に振り返ってみました。

続きは以下のURLをクリックして見ることができます。

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週刊isologue(第256号)米国企業の「dual class」資本政策の実例を振り返る

2014.03.03

今回は(元祖)Google以降、米国でdual class(または3つのクラス)を採用したテック系企業の資本政策を振り返ります。

目次とキーワード

Google
調達額(株主資本の部)
経営陣の持株比率
「創業者からの手紙」に書かれた決意
大手新聞社やウォーレン・バフェットも採用
学術調査の結果
ガバナンスの強化
LinkedIn
Pandora(dual class

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週刊isologue(第255号)ついに「dual class」資本政策を採用したCYBERDYNE社が上場へ

今週は、先週19日に東証が上場承認した「CYBERDYNE株式会社」(サイバーダイン)が採用した「dual class」資本政策について見てみます。

今回ネットを検索して、私の過去のブログ(isologue)の:
「公開前ベンチャーの種類株活用(議決権比率の調整)」
「ジェット・ストリーム・アタック(その2)」
などのコメント欄で、47thさんや葉玉さんなどの濃ゆい方々と、この「日本版dual

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週刊isologue(第254号)シード投資スキーム「日本版safe」作ってみました

2014.02.17

今週は、先週考察した米国シリコンバレーのスタートアップ・アクセラレーター「Y Combinator」が採用した投資スキーム「safe」を日本の法令、税務、会計の表示にあてはめて、safeの「日本版」を考えてみました。

結果として「めっちゃシンプル!」なものができたと思っているのですが、もしかすると全くシンプルに見えないかも知れません。(笑)

目次とキーワード

(旧)c

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週刊isologue(第253号)Y Combinatorの新投資スキーム「safe」

2014.02.10

この回は、米国シリコンバレーのスタートアップ・アクセラレーター「Y Combinator」が採用した「safe」という新しい投資スキームについて考えてみました。

「safe」は「simple agreement for future equity(将来の株式のためのシンプルな契約)」の略で、米国のエンジェルなどの投資で幅広く使われているconvertible noteが「

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週刊isologue(第252号)起業の起爆剤になるか!? LLCの活用について考える(基礎編)

政府の成長戦略においても開業率を倍増させるといった目標を掲げていますが、起業の数を年間数万社(事業所)単位で引き上げるというのは、並大抵のことではないと想像されます。

そこで日本でも米国等にならって、合同会社(LLC)を税務上パススルーにすると、この開業率倍増目標の大きな助けになるんじゃないかという可能性について考えてみました。

目次とキーワード

合同会社(LLC)とは?
パススルーとは?

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週刊isologue(第251号)上場前後の資本政策(2013年後半)後編

2013年にIPOしたベンチャーの資本政策(上場までの経緯や調達額、資本構成など)について、以下の企業を取り上げました。

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